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甘え方

彼の甘え方はかなり独特だ。
思いっきりオプティマスに抱きついて素直に甘えるスモークスクリーンや、作業中のラチェットにちょっかいを出して思いっきり怒られた後になんだかんだで許してもらえるホイルジャックとも違う。
無言のスキンシップが多くなるのだ。

「メガトロン…」
「なんだ」
「いつも作ってもらってて悪いなーって思って、今日はこっちが晩御飯作りたいんだけど」
「作ればいいだろう」
「…甘えるのはいいけどさ、今から料理しようかなって時にそんな密着されたらやりにくいんだけど…」
「この我が甘える?冗談も体外にしろ」

だったら離してくれないかなぁ…と言いだしそうになったが、ここでメガトロンの機嫌を損ねてはいろいろと面倒だ。
…ご機嫌斜めになったらずっとすねてるし、案外子供なんだよなぁ
仕方ないなぁ、と一呼吸排気するとバンブルビーはデータパッドのレシピページを閉じ、電源を落とし、後ろから抱きついてくるメガトロンの手に触れた。

「後で手伝ってよ?」
「いくらでも手伝ってやる」

ホントに?といたずらっぽく聞き返すと、メガトロンはほんの少し舌打ちをし、機体をかがめてバンブルビーの首に顔をうずめた。
図体も自分よりはるかに大きく、凶悪な顔をしていると言うのに。
…かわいいなぁ。
なんて思ってしまうのはきっと自分だけなのだろう、そう思いながらオプティックを閉じると輪郭にメガトロンの指が触れる。
唇が触れ合った後に閉じたオプティックを開けると、愛した赤が視界に飛び込む。

「メガ、かわいい」
「そんなことを言うのはお前だけだ」
「ほかにもそんなこと言う人がいたら困るよ」

そう言うとメガトロンは一言、黙ってろと言うと、バンブルビーを自分の方にむかせまた触れるだけのキスをした。
しばらくキスを楽しんだ後に唇が離れると、何故だかおかしくなってしまって、二人はこつりと額をくっつけたまま少しだけ笑ってしまった。

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